弥生、「個人事業主 課題調査2025」を実施

2025年03月07日

弥生株式会社

自宅等からのe-Taxの利用率は41.7% に微増。確定申告へのAI活用への期待も高まる

弥生株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役 社長執行役員 兼 CEO:武藤健一郎、以下「弥生」)は、2025年における個人事業主の課題や関心事について把握するために、全国の個人事業主を対象に実態調査をしました。その調査結果をお知らせします。

【サマリー】
・令和6年分(2024年)の確定申告においては、「自宅等からインターネットで提出(e-Tax)」利用率は41.7%と過去五カ年で最高も高止まり傾向
・年代別のe-Tax選択率では、20~30代が55.4%と最多。最も少ない70代以上でも26.7%がe-Taxを選択
・確定申告の提出方法は90%以上が毎年同じ方法を選択する傾向「定額減税」を受けるために確定申告が必要であることの認知度は70.2%。しかし47.4%が制度の詳細について知らない、不安があると回答
・2024年11月施行の「フリーランス新法」について、19.7%が前向きな効果を実感するも、38.4%は「法律について知らない」と回答
・会計処理・確定申告で実際にAIを活用したことがある人は14.3%と限定的。一方全体の41.7%が確定申告へのAI活用への期待を見せた

調査レポート

・令和6年分(2024年分)の確定申告においては、「自宅等からのe-Tax」利用率は41.7%と過去五カ年で最高も高止まり傾向

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確定申告書の提出方法として「自宅等からインターネットで提出(e-Tax) 」を選択した人は41.7%となり、2023年から2.1pt上昇しました。デジタル化の傾向が見られるものの、2023年からの上昇値を見ると高止まり傾向にあります。一方で、2024年に初めて確定申告を行った人の45.1%がe-Taxでの提出を選択しており、新規利用者の間ではデジタル申告の定着が進んでいることが伺えます。 

・年代別のe-Tax選択率では、20~30代が55.4%と最多。最も少ない70代以上でも26.7%がe-Taxを選択

確定申告書の提出方法として、e-Taxを選択した人の年代別割合では、20~30代が55.4%と最多になりました。一方、70代以上ではe-Taxでの提出を選択した人は26.7%となり、年代ごとに差が表れました。いずれにしても、キャズム理論における普及の谷である16%は超えていることがわかります。 

70代以上の方がe-Taxを選択しない理由については、「e-Taxが難しそうだから」(33.3%)、「e-Taxのやり方を調べるのが億劫だから」(23.1%)が並び、電子申告の浸透には、全年代が利用しやすいシステムやサポート体制の整備が課題となりそうです。 

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・確定申告の提出方法は90%以上が毎年同じ方法を選択する傾向

提出方法について、前年と同じ提出方法を今年も予定している事業者が多くを占めました。令和5年分の確定申告提出方法と令和6年分の提出方法の予定について、「両年ともe-Taxで提出する予定」と回答した人は91.0%、「両年とも紙で提出する」と回答した人は95.8%となり、提出方法は個人ごとに固定化する傾向が見られます。

加えて、「確定申告における課題」の設問において「特に課題はない」と答えた事業者が、令和5年分確定申告を紙で提出した人の中では38.3%、e-Taxによる電子申告を行った人の中では44.8%でそれぞれ最も多い回答となっています。多くの事業者が現状の提出方法に満足している、または大きな課題を抱えていないことから前年と同じ提出方法を選択しているものと考えられます。

※ 確定申告の提出方法について「税務署へ持参して提出」「税務署へ郵送して提出」を選択した事業者

・「定額減税」を受けるために確定申告が必要であることの認知度は70.2%。しかし、そのうち47.4%が制度の詳細について知らない、不安があると回答

令和6年度税制改正に伴い、令和6年分(2024年分)の所得税について定額による所得税額の特別控除(定額減税)が実施されることとなりました。個人事業主がこの定額減税を受けるには、確定申告が必要となることは70.2%の事業者が把握していました。しかし、そのうち47.4%は実際の定額減税の計算方法や、対象者などの制度を受けるための詳細について「不明な点がある」「ほとんど理解しておらず、不明な点が多い」「全く知らない」と回答しました。 

・2024年11月施行の「フリーランス新法」について、19.7%が前向きな効果を実感するも、38.4%は「法律について知らない」と回答

2024年11月1日に施行された「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(フリーランス新法)」は、フリーランスと発注事業者間の取引の適正化や、就業環境の整備を目的に制定されたものです。調査では、13.4%が「契約や報酬に関して透明性が増した」、11.4%が「法的な保護が強化された」と回答しており、一定の効果を感じられたようです。一方で38.4%が「法律について知らない」と回答しており、今後の法制度の認知度向上が課題となりそうです。 

・会計処理・確定申告で実際にAIを活用したことがある人は14.3%と限定的。一方全体の41.7%が確定申告へのAI活用への期待を見せた

令和6年分の確定申告において、AIを活用した人は14.3%で、AIを活用した実例としては「税金の計算」(7.9%)、「AIチャットボットへの質問・相談」(6.5%)、「銀行明細やクレジットカードデータの自動仕訳」(5.8%)が挙げられました。確定申告にAIを利用した人のうち、90.2%の人が業務の効率化や情報収集にかかる時間の短縮といった効果を感じています。 

全体でも今後の確定申告において41.7%の人が「AIを活用したい」または「活用を検討したい」と回答し、今後の普及に期待がかかります。一方で、AIの活用に消極的な人は58.3%にのぼり、懸念点として「精度や正確性」(26.9%)、「コスト」(23.8%)、「セキュリティ対策」(21.0%)があがりました。 


総括

 確定申告のデジタル化は年々進んでおり、特にe-Taxの利用は着実に浸透し、新たな選択肢として定着しています。しかし、まだ一部の事業者にはデジタル化に対する懸念が残っており、特に年齢の高い利用者やITに不安を感じる層に対しては、デジタル化のメリットを実感でき、利用の精神的ハードルを下げるための支援が引き続き重要となるでしょう。
 全年代におけるデジタル化促進には、仕組みを提供するだけでなく、事業者がスムーズにそのメリットを実感できるようなサポートが必要になることが調査結果から伺えました。 

 また最新の法令への適応も新たな課題として挙げられます。事業者は新たな法制度を理解し、迅速に対応することが求められますが、調査結果からは制度の理解について多くの事業者が不安を抱えていることが分かりました。 

 個人事業主を取り巻く環境は年々複雑化しています。確定申告ひとつをとっても、デジタル化や法令改正など、毎年のように変化への適応が求められます。確定申告へのAI活用について、技術的な不安がありながらもその効用に期待する人が4割を超えていることも、個人事業主が抱える業務負担量の多さや、それらを解消する手段への期待が伺える結果となりました。

 弥生は、「知とテクノロジーの融合で道筋を照らし、事業によい巡りを生み出す」をビジョンとして掲げています。スモールビジネス向けのソフトウエアとサポートを提供する企業として、個人事業主が日々の業務を効率的かつ正確に行い、負担を軽減できるよう、引き続きソフトの提供に留まらない専門的なサポートと情報提供を行ってまいります。 

調査概要

調査期間:2025年1月17日~1月22日
調査対象:全国の20~70代の男女。令和6年(2024年)分の確定申告を行う予定の個人事業主。本調査1,000サンプル。
調査方法:インターネットによるアンケート調査

調査データの引用に関するお願い 
調査データをご使用いただく際は、下記クレジットをご記載ください。
出典:「個人事業主 課題調査2025」弥生調べ
データを加工してのご使用はお控えください。グラフデザインの再作成は可能です。 

補足資料について
本リリースの情報と過去実施分の調査結果を基に、e-Tax利用率の年次変化や確定申告の現状と課題をまとめた補足資料をご用意いたしました。下記より、ご参照ください。

補足資料:e-Tax利用率の年次変化と未利用の意識ー確定申告の現状と課題についてー

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代表者:代表取締役 社長執行役員 兼 最高経営責任者(CEO) 武藤 健一郎
創業:1978年
従業員数:937名(2024年9月現在)
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